「好きを仕事にする」
「天職を見つける」
「遊ぶように仕事をする」
「仕事で自己実現」
「ライスワークではなくライフワーク」

数年前からよく聞くようになった言葉です。

最初はSNSやblogなど個人の発信で見かけていたのが、近頃は転職サイトのCMや広告でも使われるようになりました。人生100年時代や生涯現役など、社会が大きく変化し、それに伴って個人の働き方や生き方も変わらざるを得ないからこそ、こういった言葉が支持を得られるようになったのかもしれません。

それに伴い、「仕事は仕事」と「生活のために仕事をする」という考え方や働き方をしているのは、なんとなく時代遅れでイケてないかのように言われることも…..

でも本当に「仕事は仕事」「生活のために仕事をする」という考え方や働き方は時代遅れなんだろうか?
私はそうは思わないのです。

仕事は仕事と割り切ったっていいじゃない。
生活のために仕事するって素晴らしい
私はそう思っています。

仕事に対して熱い気持ちを持つ人ばかりじゃないし、それが正解でもない

対人支援の仕事をしていると、「熱い気持ち」を持った人に多く出会います。

「この仕事が生きがい」
「この分野を生涯探究していきたい」
「クライアントの成長や変容を身近で感じられて、こんなに幸せな仕事はない」

その思いは素晴らしいと感じるし、そういう思いを持った人がサポートしてくれるのは、クライアントにとって、とても心強いだろうなとも思います。

でも私はそうは思えないのです。

もちろんクライアントの成長や変容を目の当たりにするのは嬉しい。
クライアントのために何ができるだろう?と考えて、常に学び続けることも当たり前だと思っている。

ただそれは、私にとって「仕事」だからであり、仕事は仕事でしかないのです。
決して遊ぶように仕事できるわけでも、仕事とプライベートの境目がなくなるわけでも、ましてや天職でもないのです。

「好きを仕事に」という言葉が流行り始めた頃、なんとなくそのブームに乗らなければいけない気がして、それっぽいことを言ってみたりもしましたが、全然長続きしませんでした。

そして「仕事は仕事」だし….と割り切った後の方がずっと楽になったし、そうやってバッサリと言い切る私が好きだと言ってくれるクライアントにも出会いました。

いいんですよ、皆が皆、松岡修造さんのようにならなくたって。

「好きを仕事にしている=仕事のクオリティが高い」なんてことはない

「好きを仕事に」とか「天職を見つける」とかが、これだけ持て囃されるもう1つの理由は、「好きなこと、天職の方がクオリティの高い仕事ができる」と思われているからなのではないでしょうか。

好きだから、天職だからモチベーション高く、やりがいを持ってできる。
『好きこそものの上手なれ』という言葉もあるし、お客様にとって満足のいく結果を提供できる

そんな思いがありそうです。

でもこれに対しても「いや、そんなことないよ」と思うのです。
仕事には責任が伴います。ただ「好き」だけでやっていけるものではありません。
自分にとって「天職」だと思える(思いたい)仕事だったとしても、常に幸せなことばかり起きるわけではありません。

仕事だからこそ、やっていられないことや理不尽なことだって起こります。
そんな時、最後までやり切れるか、責任を全うできるかどうかって、「好きを仕事にしたか」や「天職かどうか」は全然関係ありません。

仕事に対してどう向き合うか…ただそれだけです。

仕事への意味づけは自分次第。仕事は仕事と割り切っても全然問題なし!

仕事への向き合い方、仕事への意味づけ、それは全部自分次第。

仕事は仕事と割り切っていようが、生活のために仕事していると思っていようが、そんなことは関係ありません。

好きなことが仕事になってなくてもいいし、天職を見つけようとする必要もありません。
自分のスタンスで仕事や働き方と向き合って、自分の責任を全うしたらそれでOKなんじゃないかな。

逆にご自身が情熱あふれるタイプなのだとしたら、「仕事は仕事」「生活のために仕事をしている」という人に対して、「それじゃダメ」なんて言わないで欲しい。

表面的な言葉や気持ちではなくて、相手が日々の仕事にどう向き合っているか、それを見ることが大事だと私は思っています。